◇ひとりひとりが大切にされる社会を目指して

 年長さんと川平を散歩していると美味しそうなビワがなっていました。その家のご主人が「ビワとっていいよ、昔、自分たちもいっぱいもらって育ったから」とビワを沢山いただきました。人間は、自分を育ててくれたものを大切にして、次の世代に引き継ぐのだと直感した瞬間でした。子どもたちひとりひとりが大切にされたなら、その子たちは将来、ひとりひとりを大切にするはずです。そういう人が一人でも多くなれば、社会はもっと良くなっていくと思います。世代を超えて連鎖していくはずです。

 

◇豊かな毎日を目指して

 女の都こども園は長崎県長崎市女の都にあり、長与町に隣接し、地域の自然や支援のもと、0歳から12歳までの成長を支えています。

 全てが未発達な乳幼児期だからこそ、本物の環境に触れほしいと考えています。遊びでは四季折々の自然の中で草花や生き物に触れながら沢山体を動かします。給食では玄米を三部づきにし、化学調味料は使いません。野菜が豊富で健康な体の土台をつくります。

 年長になると、針と糸で雑巾を塗ったり、縄跳びを三つ編みで編んだり、独楽、和紙など日本の豊かな伝統に触れます。また、登山や乗馬、生の人形劇や演奏会などを体験します。

 

 また、乳幼児期の成長•発達は、勉強やスポーツなどの特定の知識や技能を大人が与えることによってではなく、 自らの意志で、遊ぶ、食べる、寝るという、あたりまえの生活体験の積み重ねによって促されます。いっぱい動く生活の中で手足の指先まで自由に働かせること、自然や人と関わる中で、好き・嫌い・楽しい・嬉しい・悲しいという気持ちを知って調整できることなどの体と心の土台の力が育つ時期です。

 行事に向けた練習を何度もするよりも、水や砂、泥などの変化する素材や虫たちや草花など季節によって移り替わる自然の中で五感を沢山使い、遊びたくて遊び、美味しいお昼ご飯を食べたくて食べ、眠たくなって眠るような生活が土台の力を育ててくれます。

 

<私たちが大切にしたい事>

 このように日常の中で土台の力を育てるために、保育者は日々楽しくなるように保育を考えています。一瞬一瞬の関わりの中で、子どもたちに豊かな声を掛け、子どもたちが自分で考えて自ら世界に働きかけることができるように育てていきたいと考えています。そのためには、保護者の皆様にも塾や習い事、TVやゲーム、メディアなどの子どもたちの感じる心や考える力を閉ざしてしまう刺激の強い文化に触れないこと、早起き早寝の生活習慣を整えることを協力してもらっています。

 

<みんなでみんなを保育する>

 私たちは、担任が自分のクラスの子を見るという学校的な教育・保育の在り方から抜け出し、ひとりひとりについていろんな職員が関わり、いろんな子どもたちが関わりながら、多様な人間性の中で育てたいと考えています。そのためにみんなでみんなを保育すること、学び続けることを合言葉にしています。また、支援が必要な子も一緒に育てることができるよう一歩一歩積み重ねていっているところです。

 

<自然を守ること>

 気候変動により新たな感染症、大規模な災害に見舞われ、外で遊ぶことがどんどん難しくなってきています。人間も自然の一部であり、自然の中では豊かに成長を促すことができます。裏山の環境や自然環境を守る活動も徐々に行っていこうと思います。

 

学校法人女の都幼稚園 理事長 平 慶生

 


女の都こども園 女の都幼稚園 豊かな自然と仲間の中で五感と生きる力の土台を育てます